Integrated IS-IS PDUフォーマット

Integrated IS-ISで使用するPDUのフォーマットの一覧です。

■ Integrated IS-IS PDU

Integrated IS-ISで使用するPDUの構造はIS-ISと同様に下図のように3つに分かれています。共通ヘッダはすべてのPDUに共通の情報が格納されます。規格として決められたものではありませんが、構造的に区分することができるため分けて取り扱います。タイプ別フィールドはHello PDUやLink State PDUごとに個別に持つフィールドです。可変長フィールドはそれぞれのPDUに対して付加することができる情報で、ISに固有の具体的な情報は可変長フィールドに入ります。

Integrated IS-ISで使用するパケットタイプはIS-ISと同じものが使用され、すべての固定フィールドも同じです。ここでは共通ヘッダ、タイプ別フィールドは省いて可変長(オプション)フィールドのみ説明します。

可変長フィールド(オプションフィールド)

可変長フィールドはIS固有の情報が入るオプションフィールドです。必要なオプションを選択してタイプ別フィールドの下に付加します。構造は下図のTLV(Type, Length, Value)の形式になっています。CODE(Type)は扱うオプションのTLVタイプをコードで指定し、LengthはVALUEフィールドの全長を1オクテットで指定します。VALUEはLengthで指定した長さのオプション情報が入ります。

オプション一覧

Integrated IS-ISで使用するオプションの一覧です。使用できるオプションはPDUの種類によって決まっているため、選択して使用します。複数のオプションを使用する場合は連続させる形で使用します。

コード TLVタイプ オプション情報 使用されるPDU
128 IP Internal Reachability Information IP内部到達可能性情報。ルーティングドメイン内の直接到達できるIPアドレス L1LSP, L2LSP
129 Protocols Supported ISがサポートするプロトコル L1IIH, L2IIH, P2PIIH, L1LSP, L2LSP
130 IP External Reachability Information IP外部到達可能性情報。ルーティングドメイン外へ到達するための直接到達できるIPアドレス L2LSP
131 Inter-Domain Routing Protocol Information ドメイン間ルーティングプロトコル情報 L2LSP
132 IP Interface Address インターフェースに対応するIPアドレス L1IIH, L2IIH, P2PIIH, L1LSP
133 Authentication Information 認証情報 L1IIH, L2IIH, P2PIIH, L1LSP, L2LSP, L1CSNP,L2CSNP, L1PSNP, L2PSNP

CODE 128 IP Internal Reachability Information

ルーティングドメイン内の直接到達できるIPアドレスを表すために使用します。

使用されるPDU:L1LSP, L2LSP

Code 128
Length Valueの長さ
Default Metric bit8 — 0で固定
bit7 — 内部、外部メトリックの切り替え
bit6~1 — メトリック値
Delay Metric bit8 — このメトリックを使用する場合は0、使用しない場合は1に設定
bit7 — 内部、外部メトリックの切り替え
bit6~1 — メトリック値
Expense Metric
Error Metric
IP Address 直接到達できるIPアドレス
Subnet Mask IPアドレスのサブネットマスク

CODE 129 Protocols Supported

ISがサポートするプロトコルを示すために使用します。NLPID(Network Layer Protocol Identifier)はプロトコルに対してISOで付与されている番号です。”NLPID”はOSIのネットワーク層で用いられる表現で、IS-ISの共通ヘッダで使用される”Intradomain Routing PD(Protocol Discriminator)”と同じです。

現在サポートされている一覧はISO/IEC TR9577|X.263もしくはIANAで確認できます。

https://www.iana.org/assignments/nlpids/nlpids.xhtml

使用されるPDU:L1IIH, L2IIH, P2PIIH, L1LSP, L2LSP

Code 129
Length Valueの長さ
NLPID サポートするプロトコルのID

CODE 130 IP External Reachability Information

ルーティングドメイン外へ到達するための直接到達できるIPアドレスを表すために使用します。

使用されるPDU:L2LSP

Code 130
Length Valueの長さ
Default Metric bit8 — 0で固定
bit7 — 内部、外部メトリックの切り替え
bit6~1 — メトリック値
Delay Metric bit8 — このメトリックを使用する場合は0、使用しない場合は1に設定
bit7 — 内部、外部メトリックの切り替え
bit6~1 — メトリック値
Expense Metric
Error Metric
IP Address 直接到達できるIPアドレス
Subnet Mask IPアドレスのサブネットマスク

CODE 131 Inter-Domain Routing Protocol Information

ドメイン間で使用されるルーティングプロトコルの情報をAS内に発信するために使用します。

使用されるPDU:L2LSP

Code 131
Length Valueの長さ
Inter-Domain Information Type External Information に含める情報タイプ
0 — 予約
1 — ローカルに指定された情報
2 — IP外部到達可能性情報に適用されるAS番号
External Information Inter-Domain Information Typeに応じた外部情報

CODE 132 IP Interface Address

PDUを送信するインターフェースのIPアドレスを表すために使用します。IIHでは1つのインターフェースアドレス(送信するインターフェースのアドレス)を指定し、LSPではISの持つ1つ以上のアドレスを含めることができます(最大63まで)。両方ともISを特定するために使用されますが、IIHの場合は各回線内での識別で使用でき、LSPではドメイン内での識別に使用できる性質を持ちます。ただし、あくまでISの宛先アドレスとしての役割であるためほかのIPパケットと同様にルーティングテーブルに依存して転送されます[RFC1195 3.10]。ポイントツーポイント回線の場合は省略可能です。

使用されるPDU:L1IIH, L2IIH, P2PIIH, L1LSP

Code 132
Length Valueの長さ
IP Address IPv4アドレス

CODE 133 Authentication Information

IS間で認証を行うために使用する認証情報を格納するために使用します。ただしこのTLVはRFC3787で廃止されています。

使用されるPDU:L1IIH, L2IIH, P2PIIH, L1LSP, L2LSP, L1CSNP,L2CSNP, L1PSNP, L2PSNP

Code 133
Length 認証情報の長さ
VALUE 未定

この値はRFC1195内では確定しておらず以下のように提案されています

Authentication Typeフィールド(1オクテット)
Authentication Inoermationフィールド(可変長)

Authentication Type
Type = 1(simple password)
1以外は予約